よろぶん あにょはせよ〜
ソウルのゲストハウス アジトゲストハウスです。

韓国では、映画『ミナリ』がアカデミー賞の作品賞、監督賞(チョンイサック監督)、主演男優賞(スディーブンヨン)、助演女優賞(ユンヨジョン)、脚本賞、作曲賞の6部門のノミネートされたニュースで持ちきりです。

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元ニュース

世界の名だたる映画祭で賞を総なめにしている「ミナリ」ですが、ゴールデングローブ賞ではアメリカで制作されたにも関わらす外国語映画に分類されたことで物議を醸し出していました。
(ミナリは、ブラットピットの「プランB」が制作したアメリカの映画)

おばあちゃん役で出演されているユンヨジョンさんは、韓国で初のアカデミー助演女優賞にノミネートされました。
ユン社長が、受賞したらうれしいな。

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元ニュース

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そんな映画「ミナリ」を見てきました。
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平日昼割で10000ウォン
ガラガラだったので、ど真ん中でゆったりみました。
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(↓これは、3月に発売されたBIG ISSUE)
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映画「ミナリ」簡単なあらすじ

1980年代アメリカンドリームを夢見てアメリカに渡ったジェイコブとモニカ

ひよこの仕分け技術がたけているジェイコブは、都市である程度の資金をためてアーカンソーに土地を買う。
50エイカーの何もない土地を「この土のためにここに来たんだ。これが俺の夢だ」と言う。
それを、「こんな土のためにこんなところに来たですって?」と顔をしかめるモニカ

モニカは、子供を最優先に考える典型的な韓国ママ
加えて息子は心臓に疾患があるため病院まで1時間もかかり韓国人コミューニティーが無い土地に住むことに不安しかない。

二人には、アンとデイビットという子供がいる。
ジェイコブとモニカは、ヒヨコの仕分けと農場の仕事があるため、子供の面倒をみるために韓国からモニカの母が呼ばれる。
デイビットは、アメリカのおばあちゃんと全然違う祖母を「おばあちゃんらしくない!!」と拒絶します。
「おばあちゃんらしくないなんて嬉しいこと言ってくれるね~」って喜ぶおばあちゃん。

そんなデイビットをつれて散歩にでたおばあちゃんは、「ミナリはどこにでも根を張って生きていくんだ」と芹の種をアメリカの大地に蒔いた。

祖母と孫、姉と弟、夫と妻、家族の物語

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おばあちゃんは、「ミナリはどこでもすくすく育ち、豊かな者のも貧しい者も食し、スープにも鍋にも使えるワンダプル(풀)だ」と言います。
풀(プル)とはミナリやほうれん草のような草のことを指す韓国語

ミナリ 미나리 とは、韓国語で芹のこと。
韓国では芹は日常的によく食べる野菜で、ナムル、チゲやチジミなど使用用途は多いです。
これは、鴨チゲで出てくる芹
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こんな感じでどばどば投入して食べます。
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鴨の脂とトルゲのスープに芹はとってもよく合うので、セリを無限に食べられます。

イサック監督は、アメリカに移住したご両親をモチーフにこの映画を撮ったと言っていて
実際におばあちゃんが植えた芹は食卓によく上ったとのこと。

映画の中で起きる事件みたいなことは実際には無かったそうなのですが、夫婦の葛藤やおばあちゃんとの交流、80年代アメリカの牧歌的空気はそのまま映しだされているようでした。
自分がアーカンソーの空気になって、家族を見つめている気分になりました。
まるで、土とほこりの匂いがしてきそうな映画です。







ここから、わたしの印象に残ったセリフや感想


ちょっとネタバレしています。








私はストーリー全体よりも一つ一つのセリフや表情がとても印象的でした。

【祖母と孫息子】

例えば、おばあちゃんがデイビットを呼ぶ「デイビッさ~」。
韓国では親しい人や子供を呼ぶ時に야や아をつける習慣があります。
デイビットは、데이빗と書くので데이빗아~(デイビサー)になるんですよね。
この呼び方や孫を見つめる眼にとっても愛情を感じられて、微笑ましいです。
最後に、おばあちゃんに向かうデイビットはとても印象的

あと、おばあちゃんがデイビットに「お前の勝ちだ!!」っていうところ
(ここはユンヨジョンさんのアドリブ)
実際、80年代に韓国でお父さんに子供がこんなことしたら、鞭だけじゃ済まずにぶん殴られるわwwwww
これで、手打ちにできたのはおばあちゃんの「お前の勝ちだ」という一つのセリフのおかげだとおもう。

蛇に石を投げるデイビットに「や、そんなことしたら蛇が隠れちゃうじゃないか。目に見えるものより隠れてるもののほうが怖いんだよ」って言うシーンはいいなと思った。
目に見える困難(水とか火とは)より、見えないもの(人の気持ちや)が怖いんだってことかな?

このデイビットを演じるアラン・キムくんは今アメリカで引っ張りだこなんですが、インタビューとかもめちゃくちゃひょうきんで可愛いです💕
↓全部英語だから、なんて言ってるかはわからないけど、かわいい
デイビットとおばあちゃんのやり取りでは、4人しかいない劇場に何度も笑い声が響きました。

【母と娘】
韓国からアーカンソーにやってきたおばあちゃんを迎えるモニカの表情がグッとくる。
おばあちゃんのカバンには、大量の唐辛子の粉、煮干し、栗等々がパンパンに入ってます。
まるで、お義母さんがいつも持たせてくれるビニール袋の数々
わたしもモニカと一緒に泣きました。

その後から食卓にパンチャンが増えるところとか、ほんと韓国家庭あるある。
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【夫と妻】

お父さんは、アメリカで生きていく移民の男として、かっこいいことをいろいろ言うんだけど、なんとも言葉に中身がない。
お父さん役のスティーブンヨンさんはその辺のさじ加減がすごく上手い。

母親モニカの気持ちはよくわかる。
わたしも夫が突然、実力を認められている仕事を辞めて、「ドリーム!!」とか言いだしたら、後頭部をはたくと思う。
冒頭でモニカが「점점 심해진다」(だんだんひどくなる)と言っていますが、この一言でこれまでにあったことが想像できる。

うちもたまに「きにするとこそこ?!」って言いたくなることあるもんね~💦

80年代のインターネットもなくて、家族にも会えない見知らぬ土地に行くとか無理。
私だって移民だけど、インターネットもコンビニもあるから、お母さんとも友達とも好きなときに何時間でも話せるし、好きなお菓子も買えるし全然移民の覚悟が違うんだよね。

韓国スーパーの外でモニカがジェイコブに言うセリフはナイフのように刺さってくる。
【父と息子】
さっき、父ジェイコブの言葉には、中身がないと書きましたが、一つだけ実感のこもった言葉があって「그래서 남자는 쓸모가 있야된다」ってデイビットに言うシーン
「男には使い道がなきゃいけないんだ」意味なんだけど、この一言にジェイコブのこれまでの苦労がにじみ出てる気がしました。

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観る前は、観た後きっと爽快な気分になるんだろうなと思っていたのですが、観た後残るのは「え?」でした。
尺が足りなかったんか?

観て得るものは多いですが、共感とかを求めて観るものではないことだけ、お伝えしておきます。

そして、アメリカ人にウケる意味が分かった。





[追記]
韓国時間4月26日午前中に開催された「アカデミー賞授賞式」にて
助演女優賞をユンヨジョンさんが受賞されました。
おめでとうございます!!

ユンヨジョンさん 助演女優賞受賞所感 フルバージョン



プレゼンターのブラットピットに「やっと会えましたね。私たちが映画を撮ってと時はどこにいたんですか?」と言って笑いを取ってました。つかみはOK


この後の韓国記者たちへの記者会見では
「ブラットピットに次の映画にはもうちょっと出資を(多く)してほしいと話した」
(「ミナリ」の制作会社はブラットピットの会社)
というエピソードも公開www
  ↓↓


同伴者が、娘役だったハンィエリさんになった理由などを公開

「最高の瞬間ですか?」という質問には「最高とか1番とかって言葉はあまり好きではない。みんなで최중で暮らしたらだめかしら?」とユン節を炸裂

최고(最高)ではなく최중(最中)がよいとwww
これは、名言として残るでしょうね。
受賞したことについては「映画を通して真心が通じたと思うと嬉しい」とおしゃっています。

ユン先生のさっぱりとした言い回しが気持ちがよくて、面白いwwwwww
例のエンディングについても語ってくださっています。
ああ、私たちがMSGにまみれた映画が日常になってしまってたんだなーと。




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